三大陸トーナメント オーストリアvs日本

EURO2008を控え、開催国であるオーストリアとスイスの両国は、予選免除を受けているだけに、
数多くの試合(真剣勝負)をこなして、チーム力のアップを計らなくてはならない。
その一環として行われているのが、日本代表が出場している三大陸トーナメント。
日本にとっても、日本国内で手を抜いた強豪国と対戦するより、よっぽど経験値の上がる試合が望める。
現に、今回のオーストリア戦で、オーストリアの選手だけでなく、観客も真剣だったと感じた。
選手は激しいプレスを仕掛け、気を抜いたプレーなど見せなかった。
また、観客は自国の不甲斐ないプレーに対してブーイングをすることもしばしばあり、
開催国としてのプレッシャーを感じて試合をしていたように思える。

しかし、オーストリア国民にとっては、日本のフットボールなど全く知識のないものなのだろう。
完全に日本を見下していたからこそ、あのようなブーイングが乱れ飛んだのだと思う。
これが欧州や南米の強豪国との対戦であれば、あのような展開も仕方ないと思うだろうから、
ブーイングなど出ず、声援を送り続けていただろう。
日本の実力などは別として、世界の中での日本の位置の認識は、まだその程度でしかない。
それもそうだろう。
ワールドカップにおける成績は、自国開催の2002年を除く6試合で0勝5敗1分(3得点11失点)。
内容を含めても、この結果でアジア以外の国に強いと思わせる要素は見つからない。
アウェイで対戦するこのような大会で、結果だけでなく内容も示すことで、
その国のサポーターの先入観を少しでも変えるようにして欲しいと、僕は願っていた。

まず、最初にこの試合がこけら落としとなったEURO2008の会場となるクラーゲンフルトのスタジアムに触れたい。
EURO2008のために新築されたこのスタジアムだが、芝がまだ根付いていないため、
まともなプレーができない状態だった。
これを見て、すぐに思い出したのは、「さいスタ」だな。
2002年ワールドカップを前に、完成したさいたまスタジアム2002。
そのオープニングマッチは、日本代表とイタリア代表の試合だった。
稲本がカンナバーロからボールを奪いすぐに前線にフィードすると、柳沢が素晴らしい動き出しからマークを外し、
左後方から来る浮き球を右足のアウトサイドで合わせるという非常にテクニカルなシュートを決めた試合。
その試合でイタリアと引き分けたことよりも僕にとって印象に残っているのは、芝だった。
スライディングで1mくらい芝がめくれたり、単純に踏ん張っただけで滑るだけでなく、芝もはがれてしまっていた。
イタリアの選手が呆れながら芝を直していたのも覚えている。
クラーゲンフルトの芝も、初期の「さいスタ」と同様だった。
2002年のワールドカップには、「さいスタ」の芝も定着して問題があったという印象はないが、
クラーゲンフルトもEURO2008に間に合ってほしいしか言いようがない。
日本の、埼玉の環境よりも過酷な条件のオーストリアだけに、管理者の努力は生半可なものでは無理だろう。

試合の方は、序盤はオーストリアの激しいプレスでリズムを作れなかった日本だったが、
徐々に自分たちのペースを取り戻していった。
この日、オシム体制になってから初めて本来のポジションであるヴォランチで出場した稲本が、
存分に自身のパフォーマンスを披露したことは、本人にとっても日本にとっても大きなことだった。
ともすれば、体格差だけで萎縮しかねない日本選手がいてもおかしくないような状況の中、
中盤での守備分担を鈴木啓太と分け、プレスを仕掛ける稲本、カバーリングの啓太という構図は、
ディフェンスラインの闘莉王を含めて良い守備ブロックを作っていたと思う。
また、アジアカップは怪我で外れた闘莉王の存在は、非常に大きい。
僕が評価したいのは、闘莉王のビルドアップ。
自陣でのボール回しでは、中澤との距離をかなり取ることで両サイドバックの上がりを促すことをしている。
また前線の動き出しをしっかり確認していて、ボールを受ける前の段階でフィードのイメージも出来上がっている。
むやみやたらな蹴り出しとは違い、しっかりした意図があるため、成功率も非常に高い。
ディフェンスラインでの余計なパス回しも闘莉王のポジショニングとフィードによって減り、
ボールをキープするエリアもよりアタッキングゾーンに近付き、サポートする選手の位置関係も高い位置で近くなり、
”チャンスを生む機会を増やす”ことができたと思う。
ここで”チャンスを増やす”と言えないところは、まだ日本の課題になる部分だった。

個人的に、日本のサイドバックには不満しかない。
「リスクを冒してでもチャレンジしろ」ということをよく耳にするが、
日本のサイドに関しては、「リスク」以前の問題だと僕は感じる。
それは、「アイデアの欠如」と言うのが表現として正しいように思える。
僕が一番不満に思うプレーは、サイドを縦にドリブル突破して切り返した後のプレーである。
「リスクを冒す」と言うのは、ここで切り返さず縦に勝負することを指す人もいるだろうが、
それはもっと細かな状況によって違うので、ここでは何とも言えない。
僕が言いたいのは、切り返すことが悪いと言うことではなく、
切り返した後にそのままクロスを上げられないことが不満だということだ。
この試合に限らないが、日本の選手は縦へのドリブルから切り返した後、ほとんどバックパスをしている。
しかもそのバックパスからダイレクトでクロスを入れることも非常に少ない。
日本人のFWは、欧州の屈強なDFを相手にまともに勝負して勝つのは難しい。
それでも勝つ方法としては、動き出しを速くして、相手よりも早いタイミングで勝負することだと僕は考えている。
サイドからのクロスがもたもたしていたら、わざわざ有利な状況からイーブン、または不利な状況に変化してしまう。
そのまま縦に突破してクロスを上げるのも一つの手段であり、切り返してそのままクロスを上げるのも手段の一つ。
しかし、切り返した段階で、そのままクロスを上げるイメージがないため、ただのバックパスしかできず、
攻撃が滞ってしまうシーンがほとんどだった。
そのようなイメージ(=アイデア)がないので、実行にも移せないのだと僕は感じる。
サイドの選手が切り返してのクロスなど、現代フットボールにおいては、普通にできなくてはならないプレーの一つである。
左サイドバックの駒野は、両足でクロスを上げられる選手で、所属チームでは右サイドに入る。
右サイドバックの加地も、Jリーグで目の覚めるようなミドルシュートを左足で決めている。
どちらも利き足ではない足が軸足だという選手ではない。
中村俊輔にしても、左足のスペシャリストではあるが、サイドに流れた時には右足でクロスを上げることも多い。
もし、個の力で打開できないのであれば、切り返した後のバックパスをダイレクトでクロスを上げられるようなプレーに
繋げるための中盤だけでなくFWも含めた形の構築をしなくてはならない。
はっきり言って、その形を作ることの方が、よっぽど難しい。
それを考えても、サイドバックにはもっとプレーの幅を持ってもらわないと困る。

サイドという意味では、僕が期待する松井大輔にも少しだけ触れたい。
”ドリブルで勝負する”ことは、日本の中では一番やれていたと思う。
その割にあまり存在感がなかったように思えるのは、ボールへの絡み方の問題なのかもしれない。
コンビネーションの問題があるのは確かだが、彼が欲しいところでボールをもらえていたかが影響しているのではなかろうか。
それから1対1に強い松井にボールが渡ると、彼に任せっきりにしてしまい、サポートがあまりないのも気になった。
さすがの松井でも、何らかのサポートなしで、何人もの相手と勝負するのは難しい。
それこそ、オシムの標榜するフットボールであれば


得点力に関しては、はっきり言って、どこの国でも永遠のテーマであり、日本に限った話ではない。
無得点だからFWが悪かったとは必ずしもない。
稲本からのスルーパスで俊輔が撃ったシュートは決めなくてはならなかったが、それだけのせいでもない。
代表発表もFWだけ遅れるように、まだFWでポジションを確定している選手はいない。
徐々にDFやMFはメンバーが固まりつつある中で、FWはテスト段階でしかない。
個で打開できるFWがいないのだから、チームとしてどう連携させてチャンスを作るかが鍵となる。
それには、先に指摘したサイド攻撃も重要になるだろう。

試合全体にも触れたかったが、時間がないのでここまで。
最後に、遠藤保仁のPKについて。
たぶん、日本に限らず、世界も含め、史上最高のPKのキッカーだろう。
GKを全く見ない、蹴る方向は全く見ないというキッカーは、星の数ほどいる。
でも、ボールを全く見ないでPKを蹴るキッカーは、僕の頭の中のデータの中には存在していない。
僕が知らないだけかもしれないが、蹴ったボールと同方向に動いたGKすら記憶にない。
まぁ、ナビスコカップ決勝でポストに当てて外したことはあるのだが…

P.S
遠藤の他に、ボールを全く見ずにPKを蹴る選手をご存知の方がいましたら、教えてください。
現役の選手でも既に引退している選手でも構いません。
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by neo_no14 | 2007-09-10 22:54 | 日本代表


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