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2007 Jリーグ 第12節 甲府 vs 清水 その2

ちょっと今更って感じですけど、せっかく書いたので。

この試合において、問題が多かったのは、攻撃面。

まずは、前線へのフィード。
これが一番問題だったと思う。
キーポイントしては、あの強風を利用することにあった。
前半風下だった清水だが、風を味方していたのは、清水だったと思う。
一般的には、風上が有利であることは間違いないが、
状況によっては逆になることもあるし、どちらにせよ、うまく利用できた方が勝ちなのだ。
西部からのキックにしても、DFからの前線へのフィードにしても、前半は風で押し戻されていた。
相手DFの増嶋は、そういったハイボールに対して、落下点を見誤り続け、何度もかぶっていた。
後半になると、ほぼ完璧に近くクリアをしていたが、前半はとにかく酷かった。
風上に立つ甲府のディフェンスラインは、風でボールが押し戻されるのを計算して、
かなりラインを高く保っていた。
必然的に、ディフェンスラインとGKとの間に広大なスペースが出来る。
そこをもっと使うべきだった。
強風で風下という状況であれば、強く蹴り過ぎるくらいでも問題はない。
また風の流れによっては、右にも左にも変化するので、狙いを定めて蹴るには限界がある。
ということは、ある程度いい加減でも前に蹴ってしまって、あとはFWに任せてもいいのだ。
フィードの精度の悪いDFばかりの清水だが、こういう試合では蹴っていけばよかった。
また、あとでも触れるが、ロングフィードは、甲府のプレスを回避するにも有効な手段だったはずだ。
相手に攻め込ませていただけに、GKを含むディフェンスラインからのフィードが重要だった。

この試合で、攻撃面のことを考慮すれば、左サイドバックは山西でも良かったかもしれない。
山西にはキック力があるし、フィードの意識も児玉よりも高い。
昨年の開幕戦でも、同じ小瀬でのジェジンのゴールは、山西からのロングフィードだった。
ただし、守備面からすれば児玉で正解のような感じもする。
甲府が右サイドから集中して攻めてきたのに対し、完全に抑えていたというわけではないが、
粘り強く守備をしていたと思われる。
攻撃も守備も中途半端な感じがすると言われる児玉だが、彼だけの問題ではない。
オーバーラップを仕掛けても同サイドのMFからボールが出てこないことは、今までかなり多かった。
ウン・ドイシュや中盤に預けてからのリターンパスが足元やマイナスに来てしまうことも多く、
せっかく乗りかけていたスピードを殺さなくてはならないこともしばしば。
その辺りは、児玉個人の問題ではなく、チームとしての左サイドからの崩し方の問題と考えるべき。
山西はアーリークロスを得意とし、児玉はもっと敵陣深くに侵入してからのクロスが特徴。
更に言えば、4枚のDFのうち、今年から加入したのは児玉だけだから、ディフェンスラインの連携、
試合中に特徴の違う守備をする両サイドMFのポジションチェンジによる守備バランスの修正など、
そういうことを踏まえて振り返れば、児玉にもチームにも時間は必要となる。
ただ、もうリーグ戦だけでも12試合を消化しているわけだから、そろそろ…という感じになっても仕方ない。


次に、FWについて。
この試合に限らないが、点が取れないのは当たり前のようなプレーぶりだった。
ゴールを奪うにはシュートをしなくてはならないのに、それをしないからだ。
FWは、味方からのフィードに対して、DFの前で競る。
ということは、ボールが押し戻されたら、FWがキープするのは位置的に容易であり、
DFがかぶった場合は、GKが前に出たくてもボールが遠のくので出にくく、比較的マイボールにしやすい。
前半はそれだけおいしい状況だったにもかかわらず、点が奪えなかったことは非常に痛い。
チョ・ジェジンは、増嶋のミスで2度は決定的チャンスがあったが、それを自ら潰している。
トラップなどせず、そのままシュートすべきだった。
GKとDFの間にボールが落ち、GKは前に出られず、DFは1歩後ろから追いかけている。
普通のFWなら迷わずにシュートを選択するのに、わざわざトラップしてDFに奪われるなんて…
僕は彼をストライカーだとは思っていないが、FWだとは認識している。
シュートを打って外すのと、シュートを打たずにボールを失うのでは、意味合いが全然違う。
状況判断の力、ゴールを奪うためのアイディアがなさ過ぎる。
フェルナンジーニョも同じ。
ドリブルでの突っかけ方がほとんどパターン化されている。
しかも、ファウルをもらいにくい体勢でファウルをアピールするプレーをするので、
シミュレーションでのイエローカードを多発しかねない。
もっと周りを上手く使うことを考えなければ、孤立していき、アラウージョ状態になるかもしれない。
去年のマルキーニョスのように前線からのプレスができれば、チームへの貢献度も違うが、
守備面での貢献はほとんどないと言える状況だから、彼も立場としては危うい。
それでも使わざるを得ないのは、清水の控えFWが監督の目からはまだまだだと思われているからだろう。
この程度の外国人2トップであれば、レギュラーを奪うチャンスはあるから、
サブの奮起を期待するしかない。

次は、中盤。
淳吾に関しては、この試合での攻め方を一番わかっていたかと思う。
プレーの出来は良くなかったが、戦略面では自分たちと相手のシステム・天候を考えたプレーをしていた。
中盤で激しいプレスを受けるよりも、広大なスペースがある相手DFラインの裏に飛び出そうと、
何度も走りこんでいたのは、僕の目から判断すれば良かったと思う。
清水のDFは、それを見ていなかったり、技術的な問題でパスを通せなかっただけ。
中盤をしっかり構成できる試合で、こういうプレーを淳吾がすることは、
バランスを崩しかねないので、あまりやるべきではないかもしれない。
ただ、甲府戦に限っては、FWが抜け出してもシュートしない状況が続いていたからアリだった。
プレスから逃げているという考えもあるかもしれないが、そうだったとしてもただ逃げているだけではなく、
自分に出来るプレーで対抗することは逃げとは言えない。
相手は淳吾が中盤でボールを触った時に3人でプレスを掛けたシーンもあったくらいだから、
中盤で彼がボールを持ったときには厳しく行けという指示があったはず。
その選手が、最終ラインを抜け出そうとすれば、相手も対応しにくいはず。
そういう意味では、淳吾はいつもと違う方法でアプローチしただけのことになる。
それを感じて、彼を使い切れなかったことは、チームとしてまだ甘い。

欲を言わせてもらえれば、伊東輝悦のつなぎのパスについて不満がある。
今年は守備面での役割が多くなり、カバーするエリアも広くなってはいるのだが、
それでも絶大な貢献度を示している。
去年は、”清水の好調のバロメーターは、テルの攻撃参加でわかる”、なんてことも言えたが、
今年は、攻撃に参加する回数は減り、守備はもちろんだが、つなぎの役割が更に強くなった感じがする。
役割の変化は、当然中盤のシステム変更の影響である。
つなぎ役は、素早く、シンプルに、正確にボールを散らすことをしなくてはならない。
しかし、テルの場合、ダイレクトでボールを散らすことはあまりなく、
トラップして時間を掛けてしまうことが多い。
テルの位置からだと、それほどタメが必要になることはないし、
テルがボールを触ろうとした時に、前の選手で仕掛けようとする動きもない。
甲府の林健太郎のプレーを見て、ボールと味方と自分で作る角度の取り方ひとつでトラップしないで、
素早くボールをさばくことができるのを改めて認識し、
チームとして動き方に違いはあるにしても、そういうプレーもあった方がいいと感じた。
テルであれば、前線へのフィードもDFの選手よりも正確にできると思う。
要は、いかにそういう形に持っていけるかにあると思う。
テルには、もっと成長して欲しいと思うので、これ以上の役割を望むのは少々酷だとは思うが、
彼のポテンシャルからすれば充分に可能だとも思う。

杉山浩太と枝村匠馬については、何とも言い難い。
浩太に関しては、起用方法に問題があるため、評価しづらい。
彼は、あくまでセントラルMFもしくは、ウンヴォランチで力を発揮する選手。
どう考えても、サイドで機能させるのは難しい。
もし彼をこの試合で使うのであれば、今年の開幕戦と同様に、
浩太をヴォランチにして、テルをサイドにした方がマシだった。
試合中に消えていたように見えるが、ちゃんとボールのないところでカバーする動きもあったし、
守備面での貢献度はあったと思う。
枝村の場合、彼の得意とするプレーがしにくい相手だったことと、
周りの動きが噛み合わないのが要因で、試合の貢献度は低かったと思う。
まず、守備では、甲府が少ないタッチ数でパスをつなぐため、
ボールホルダーに体を当てる得意のディフェンスがしづらかった。
現に、ドリブルを仕掛ける甲府の選手には、きっちり突っかけていくシーンは何度かあった。
怪我人の話をしても仕方ないが、甲府相手なら常に動いてプレスを仕掛ける岡崎の方が良かったとは思う。
また、攻撃にしてもFWとの連携が確立されていないため、ボールを失うことが多々あった。
やはり個人の問題よりもチームとしての問題の方が大きな気がする。

その3につづく。
by neo_no14 | 2007-05-25 00:00 | 清水S-Pulse


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